昨日の昼過ぎのことです。

駅東のホテル「ザ・ベーシック」でお客さんを降ろしたあと博多駅に向かって走っていると、「合同庁舎前」信号の停止線の手前で二羽のカラスがちょろちょろしていました。

「ちょっとどいてー」と言いながらじりじり近づいていくと、一羽は少し離れた木の上に、もう一羽はガードレールに止まりました。

デートを邪魔されて腹が立ったのか、赤信号で止まっている間ずっとこっちを見てガアガア鳴いているのが怖かったです(;´Д`)

こちとら最近「カラスは人の顔を覚えていて、ちゃんと復讐するんだよ」と同僚に聞いて震えあがったばかりだというのに……。

街中のカラスって人にも車にもすっかり慣れ切っていて、かなり近づかないと動いてくれないじゃないですか。

ボンネットの影に隠れたきり逃げて行く姿が見えないと、信号が青になってもなかなか発進できません。

「本当に発進して大丈夫!? ねえ、もうそこにいないよね!? じわっと押し潰すの嫌だかんね!!」と恐る恐る進んでいる間に後ろからクラクションを鳴らされたことも……。

そういえば、去年恐ろしい思いをしたのも今頃の時期でした。

天神で信号待ちをしている間、自分の前に止まっていた空車のタクシーが、助手席の窓越しにカラスにパンくずを投げていたんですよ。

餌をもらっている間はカラスも大人しくそれをついばんでいたのですが、信号が青になってタクシーが発進するとそれを追うように飛び立ち、「どこ行くの! もっとちょうだい! ねえってば!」と言わんばかりに助手席の窓をつつき始めました。

後ろを走っていた私の耳にまで、鋭いくちばしで窓をつつくカンカンという音が聞こえました。

もう餌をくれる気はないらしいと悟ったカラスが諦めて離れて行くまで、100メートルくらいは前の車をつつき続けていたでしょうか。

もしあれが自分の車だったら、そしてもし窓を開けたままだったらと思うとぞっとします。

調べてみたところ、カラスは4月から5月に産卵し、育った雛が6月から8月の間に巣立っていくらしいです。

そのため6月から8月にかけてはまだ上手く飛べない子ガラスを抱えた親ガラスの警戒心が強く、巣に近づく人間に襲いかかったりして、全国的に相談が多く寄せられるのだとか。

巣の半径50メートルが彼らの警戒区域なので、カラスの声が聞こえる木にはなるべく近づかない、近づいても見上げないなどの対策が有効です。

真っ黒で大きい体といい、ぎゃあぎゃあ騒ぎながらゴミ袋をつついている姿といい、あまり可愛いとは思えないカラス。

でも必死で子どもを守っているのだと思えば憎むことはできません。

前のタクシーをつつき続けていたあのカラスだって、ひょっとしたら「ちょっと! 子どもの分は!?」と言っていたのかもしれません。

犬猫の翻訳機ができるくらいですから、そのうち「危害を加えるつもりはないので、ちょっとそこどいてくれませんかね」とカラス語に逆翻訳してくれる機械ができないかなと思う今日この頃です。